居ぬ

リビングには常に君がいたので、人は夜中誰かの気配に慄くのが通常だろうが、対して僕は誰の気配もしない静けさに恐怖を覚える。恐怖の正体は寂しさであるかもしれない。まだ君がいないことを実感したくないのだ。君のための水桶であったり、マットやスロープだったり、それらは君のいなくなった日のうちに母親が片してしまった。僕はそれらがあったときと同じように避けて歩いてしまう。君はいつもと違い利口にしている。僕は君のために起きているのだから、汚しても鳴いてもいいというのに。